「1つのおもちゃが3万円?それでも欲しい理由があるんです」
——モンテッソーリ教育に関わる保護者からよく聞かれる声です。確かに、本格的なモンテッソーリ教具は決して安価ではありません。しかし、その価格に見合う、いや、それ以上の価値があるからこそ、100年以上にわたって世界中で愛用されているのです。
世界の名門校で使用され、Google創設者やAmazon創設者といった革新的な人物を輩出してきたモンテッソーリ教育。その核となるのが、科学的根拠に基づいて設計された特別な教具の数々です。これらの教具は単なる「おもちゃ」ではありません。子どもの脳と手の発達を最大限に促す、精密に計算されたツールなのです。
「でも、本当に効果があるの?」「家庭で使えるの?」「手作りできないの?」——そんな疑問を抱いているあなたに、プロの教育者が実際に現場で使用している教具の秘密を、すべてお教えします。この記事を読み終えるころには、なぜ世界中の保護者がモンテッソーリ教具に投資するのか、その理由が明確に理解できるでしょう。

モンテッソーリ教具とは、イタリアの医師で教育者でもあったマリア・モンテッソーリが考案した教育法に基づいて作られた教具のことです。
モンテッソーリ教具は、子どもの自発性や創造性を尊重し、自分で考えて行動する力を育むことを目的としています。モンテッソーリ教具は、子どもの発達段階や興味に合わせて5つの教育分野に分けられています。
それは、「日常生活」「感覚」「言語」「算数」「文化」です。
この記事では、モンテッソーリ教具の種類と効果について、詳しく紹介します。
モンテッソーリ教具を使って、子どもの身体や感覚、言語や数などの能力を獲得していきましょう。
3歳までの教育で大切なことを見出しつきで書いてみました。
目次
3歳までの教育で大切なこととは?
3歳までの教育とは、子どもの自己教育力を最大限に引き出すことで、子どもの可能性を広げる教育法です。

3歳までの期間は、子どもが外界からの刺激を敏感に受け取り、簡単に吸収することができる「吸収する精神の時期」と呼ばれます。
この時期に子どもに与える環境や関わり方は、その後の発達や学習に大きな影響を与えます。
3歳までの教育は、子どもの自己教育力を最大限に引き出すことで、子どもの可能性を広げる教育法です。
子どもの成長や発達段階に合わせた環境や関わり方を用意し、子どもの興味や好奇心を尊重して学ばせることが大切です。
モンテッソーリ教具の選び方

モンテッソーリ教具の選び方のポイントをまとめました。
- 子どもの年齢や発達段階に合わせて選ぶ
モンテッソーリ教育では、子どもが何かに強く興味を持ち、集中して同じことを繰り返す時期があり、これを「敏感期」と呼びます。敏感期にぴったり合った環境が整えられた子どもは、驚くほど集中し繰り返し活動し満足げに活動を終え、「達成感や満足感」を感じながら学んでいくことができます。
例えば、0歳から3歳までは、「無意識的吸収期」と呼ばれ、胎児だった赤ちゃんが人間社会に「適応」していくための能力を獲得していく時期です。そのため、「運動の敏感期」を通して身体的な運動能力を獲得することはもちろん、「言語の敏感期」によって話し言語を習得したり、「秩序の敏感期」から生活習慣、文化的な慣例など、ありとあらゆるものを無意識のうちに吸収していきます。この時期には、「日常生活の練習」や「感覚教育」の教具がおすすめです。
- 子どもの興味や好奇心に応えるものを選ぶ
モンテッソーリ教具は、子どもが自分で選んで取り組むことを前提としています。そのため、子どもの興味や好奇心に応えるものを選ぶことが重要です。子どもが何に興味を持っているかは、観察することでわかります。
子どもの興味や好奇心に応える教具を選ぶことで、子どもは自発的に活動し、集中力や創造力を高めます。
- 子どもの自主性や創造性を認めるものを選ぶ
モンテッソーリ教具は、子どもの自主性や創造性を認めるものを選ぶことも大切です。
子どもは自分で決めたことに対して責任感や達成感を持ちます。また、自分で考えたり工夫したりすることで、新しい発見や喜びを得ます。そのため、教具は子どもに自由度を与えるものが良いです。教具は子どもの個性や表現力を尊重するものがおすすめです。
以上が、モンテッソーリ教具の選び方のポイントです。
モンテッソーリ教具は市販されているものもあれば、手作りすることもできます。
子どもに合った教具を選んであげることで、より効果的な学びができるようになります。
モンテッソーリ教具5つの種類一覧と手作り可能かを解説!

1. 日常生活の練習(Exercises of Practical Life)
目的と効果 子どもの「やってみたい」「手伝いたい」という自然な欲求に応え、実際の生活技能を身につけます。この分野は他の全ての学習の基礎となる集中力、協調性、自立心を育てます。
代表的な教具と特徴
金属みがき
- 真鍮製の小さな器具と専用クリーム、布を使用
- 手指の細かな動きと集中力を養成
- ピカピカに輝く達成感が子どもを夢中にさせる
- 手作り可能度:△(専用クリームが必要)
色水注ぎ
- 透明なガラスピッチャー2個と専用トレイ
- 手首の回転運動と目と手の協調を発達
- 水の動きが美しく、子どもの美的感覚も育つ
- 手作り可能度:◎(家庭用品で代用可能)
縫いさし
- 厚紙に描かれた図形に沿って穴をあけ、糸を通す
- 手指の器用性と集中力を高める
- 将来の書字能力の土台となる
- 手作り可能度:◎(簡単に手作り可能)
花の水やり・花の手入れ
- 小さなジョウロ、スポンジ、小さなハサミを使用
- 生き物への責任感と思いやりを育成
- 植物の成長を観察する科学的思考も養う
- 手作り可能度:◎(園芸用品で代用可能)
2. 感覚教育(Sensorial Education)
目的と効果 五感を通して抽象的概念を具体的に理解させる分野です。将来の数学や科学学習の基礎となる論理的思考力を育てます。
代表的な教具と特徴
ピンクタワー
- 1cm³から10cm³までの立方体10個
- 視覚による大小の識別、三次元の認識を発達
- 数学的概念(立方、体積)の基礎を築く
- 手作り可能度:△(精密な加工が必要)
茶色い階段(ブラウンステア)
- 断面が1cm²から10cm²までの角柱10本
- 太い・細いの概念、二次元の認識を養成
- 建築的思考と空間認識能力を向上
- 手作り可能度:△(精密な加工が必要)
赤い棒(レッドロッド)
- 10cmから100cmまでの赤い棒10本
- 長い・短いの概念、一次元の認識を発達
- 将来の測定概念の土台となる
- 手作り可能度:○(工夫次第で可能)
色付き円柱
- 4つのケースに入った異なる次元の円柱
- 高さ、太さ、大きさの複合的な識別能力を養成
- 数学的思考と論理的分析力を向上
- 手作り可能度:×(高度な精密加工が必要)
音感ベル
- ド~ドまでの13個の音階ベル
- 音の高低識別と音楽的感性を育成
- 聴覚の洗練と音楽的才能の開花を促進
- 手作り可能度:×(正確な音階が必要)
3. 言語教育(Language Education)
目的と効果 音から文字へ、文字から言葉へと段階的に言語能力を発達させます。読み書きだけでなく、語彙力、表現力、コミュニケーション能力も育てます。
代表的な教具と特徴
砂文字
- サンドペーパーで作られた文字を木板に貼付
- 触覚と視覚で同時に文字を認識
- 文字の形を体で覚え、書字の準備となる
- 手作り可能度:◎(サンドペーパーで簡単作成)
移動五十音
- ひらがな一字一字が木製のコマになっている
- 音から文字への移行をスムーズに
- 単語作り、文作りで語彙を拡大
- 手作り可能度:○(厚紙などで代用可能)
絵カード・単語カード
- 実物の写真と対応する単語カード
- 語彙の増加と読解力の向上
- 分類・整理する論理的思考も育成
- 手作り可能度:◎(写真と文字で簡単作成)
メタルインセッツ(金属はめ込み図形)
- 10種類の幾何学図形の枠と内側
- 運筆の練習と手首の動きを養成
- 書字に必要な手指の筋力を発達
- 手作り可能度:△(金属加工が必要)
4. 数教育(Mathematics Education)
目的と効果 抽象的な数概念を具体物を通して理解させます。計算力だけでなく、数学的思考力、論理的判断力を育成します。
代表的な教具と特徴
金ビーズ
- 1・10・100・1000を表すビーズ
- 十進法の概念を具体的に理解
- 四則演算の基礎となる数の合成・分解を学習
- 手作り可能度:△(正確な個数が必要)
数の棒
- 10cmから100cmまでの赤と青の縞模様の棒
- 1から10までの数量概念を視覚化
- 数字と数量の対応関係を理解
- 手作り可能度:○(工夫次第で可能)
紡錘棒箱
- 0から9までの数字と対応する棒
- 「ゼロ」の概念を具体的に理解
- 数の順序性と数量概念を統合
- 手作り可能度:○(棒状のものを集めれば可能)
切手遊び
- 小さな色付きの正方形(切手状)
- 金ビーズの抽象化した教具
- より複雑な計算と数概念の理解を促進
- 手作り可能度:◎(色紙で簡単作成)
5. 文化教育(Cultural Studies)
目的と効果 地理、歴史、生物、物理などの幅広い知識を統合的に学習します。世界への興味と科学的思考を育てます。
代表的な教具と特徴
世界地図パズル
- 各大陸が取り外し可能な木製パズル
- 世界の地理と大陸の形を学習
- 国際的視野と空間認識能力を育成
- 手作り可能度:△(正確な地図が必要)
植物パズル
- 葉、茎、根などの部分が取り外し可能
- 植物の構造と各部位の名称を学習
- 生物学的思考と観察力を養成
- 手作り可能度:○(工夫次第で可能)
時計
- 長針・短針が動かせる大きな時計
- 時間の概念と時刻の読み方を学習
- 日常生活における時間管理能力を育成
- 手作り可能度:◎(簡単に手作り可能)
磁石実験セット
- 様々な形状の磁石と実験材料
- 磁力の性質と科学的現象を観察
- 仮説・実験・検証の科学的思考を育成
- 手作り可能度:○(磁石を使用すれば可能)
手作りでも効果的な教具ベスト10
完璧ではなくても、工夫次第で効果的な手作り教具も存在します:
- 色水注ぎセット 材料:透明ガラス容器2個、トレイ、スポンジ 作成時間:30分 効果:手と目の協調、集中力向上
- 縫いさし 材料:厚紙、針、糸、図案 作成時間:1時間 効果:手指の器用性、集中力向上
- 砂文字 材料:厚紙、サンドペーパー、のり 作成時間:2時間 効果:文字認識、触覚発達
- 切手遊び 材料:色紙、定規、ハサミ 作成時間:1時間 効果:数概念、計算能力向上
- 絵カード・単語カード 材料:写真、厚紙、ペン 作成時間:3時間 効果:語彙力、読解力向上
- 植物観察セット 材料:拡大鏡、観察記録用紙、実際の植物 作成時間:30分 効果:科学的観察力、自然への関心
- 時計 材料:厚紙、画鋲、針 作成時間:1時間 効果:時間概念、数的思考
- 磁石実験セット 材料:各種磁石、金属片、プラスチック片 作成時間:30分 効果:科学的思考、観察力
- 重さ比べセット 材料:同じ大きさの容器、様々な重さの材料 作成時間:1時間 効果:感覚の洗練、比較分析能力
- 音の筒 材料:フィルムケース、米・豆・砂など 作成時間:30分 効果:聴覚の発達、分類能力
購入 vs 手作り判定チャート
絶対に購入すべき教具
- ピンクタワー、茶色い階段、赤い棒(精密加工が必要)
- 色付き円柱(高度な技術が必要)
- 音感ベル(正確な音階が不可欠)
- 金ビーズ(正確な数量が重要)
手作りでも効果的な教具
- 砂文字、移動五十音(材料入手が容易)
- 絵カード類(写真と紙で作成可能)
- 縫いさし、切手遊び(簡単な工作で作成可能)
- 植物・動物パズル(工夫次第で作成可能)
実は身近な物でも使える!3歳までにおすすめのモンテッソーリ教具10選
モンテッソーリ教具とは、イタリアの医師で教育者でもあったマリア・モンテッソーリが考案した教育法に基づいて作られた教具のことです。

モンテッソーリ教具は、子どもの自発性や創造性を尊重し、自分で考えて行動する力を育むことを目的としています。
年齢別におすすめのモンテッソーリ教具を紹介します。
0歳から1歳までにおすすめのモンテッソーリ教具
- モンテッソーリ・モビール
赤ちゃんの視覚や追視能力を発達させるための飾り物です。色や形が異なる4種類のモビールがあります。
- 鏡
赤ちゃんが自分の顔や身体を観察することで、自己認識や感情表現を促します。
- ガラガラ・ラトルなどの転がるおもちゃ
赤ちゃんが手で握ったり、転がしたりすることで、手指の運動や音や動きに対する反応を養います。
1歳から2歳までにおすすめのモンテッソーリ教具
- エッグスタンド
卵型の木製パーツを穴にはめることで、手先の協調性や形の認識を高めます。
- ボールトラッカー
木製のレールに沿ってボールが転がる仕組みのおもちゃです。赤ちゃんがボールを入れたり取り出したりすることで、目と手の連動や原因と結果の関係を理解します。
- ベビー・ウォーカー(手押し車)
赤ちゃんが歩行の練習をするときに支えとなるおもちゃです。安定感があり、重心を調整できます。
2歳から3歳までにおすすめのモンテッソーリ教具
- シェープアンドソート
木製の箱に穴が開いており、その穴に合った形のパーツを入れるおもちゃです。形や色の識別や分類能力を育みます。
- コイン落とし
木製の箱にコイン状のパーツを入れるおもちゃです。指先の力や精密性を鍛えます。
- ハンマーボール
木製の箱に穴が開いており、その穴にボールを入れてハンマーで叩くおもちゃです。手と目の協調性や力加減を学びます。
- 楽器
鈴や太鼓などの音が出るおもちゃです。音楽的感性やリズム感を育みます。
以上が、3歳までにおすすめのモンテッソーリ教具10選です。
これらの教具は、子どもが自由に選んで遊べるように、手の届くところに置いてあげると良いでしょう。
また、子どもの遊びに口出ししないで、静かに見守ってあげることが大切です。
モンテッソーリ教具を使って、子どもの自立心や創造力を育んであげましょう。
まとめ
これらのポイントは、子どもの持つ自己教育力を最大限に引き出すことで、子どもの可能性を広げるモンテッソーリ教育の考え方に基づいています。
子どもの成長や発達段階に応じて、適切な教育分野や教具を選んであげることが大切です。
子どもに合った教具を選んであげることで、より効果的な学びができるようになります。