「うちの子、3歳なのにもう一人でお着替えができるんです」
「集中力がすごくて、30分以上も一つのことに取り組んでいます」
——こんな驚きの声が、全国の保育園から聞こえてきています。その背景にあるのが「モンテッソーリ教育」という教育法です。
近年、日本全国で約300校を超えるモンテッソーリ教育を取り入れた保育園・幼稚園が存在し、その数は年々増加しています。なぜこれほどまでに注目されているのでしょうか？その理由は、従来の「教える」教育から「子どもが自ら学ぶ」教育へのパラダイムシフトにあります。
現代の親たちは、詰め込み式の教育ではなく、子どもの個性を尊重し、自主性を育む教育を求めています。そんなニーズに応えるのが、100年以上前にイタリアの女性医師マリア・モンテッソーリが開発したこの革新的な教育法なのです。
この教育法の理念は、子どもの自発性や創造性を尊重し、自分で考えて行動する力を育むことにあります。
モンテッソーリ教育では、子どもに合わせた環境や教具を用意し、子どもが自由に選んで学べるようにします。
また、年齢や能力に関係なく、子ども同士が協力しながら学ぶことを重視します。
近年では、モンテッソーリ教育に関心を持つ親や教師が増えており、全国に約300校のモンテッソーリ学校があります。
この記事では、モンテッソーリ教育の歴史と現状について、詳しく解説します。
モンテッソーリ教育の理念や方法について知りたい方は、ぜひ読み進めてください。
目次
モンテッソーリ教育とは？簡単に解説！
モンテッソーリ教育とは、イタリアの医師で教育家のマリア・モンテッソーリが考案した教育法です。
モンテッソーリ教育の基本的な考え方は、「子どもには自分で自分を教育する、育てる力がある」という「自己教育力」の存在を認め、その力が発揮されるためには発達に見合った環境が必要であるというものです。
モンテッソーリ教育では、子どもの興味や発達段階を正しく理解し、子どもが自ら選び、学び、成長する過程をサポートします。
そのために、独特の体系を持つ教具や教材を用意し、子どもと環境を「提示」などによって結びつけます。
子どもは、自分で選んだ活動に満足いくまで繰り返し取り組みながら様々な能力を獲得していきます。
モンテッソーリ教育は、0歳から6歳までの乳幼児期を2つの時期に分けて考えます。
0〜3歳までの前期と3〜6歳までの後期です。
それぞれの時期に現れる発達段階における「敏感期」と呼ばれる自己教育の具体的な表れに合わせて環境を用意します。
敏感期とは、自分の成長状態に合わせて必要な事柄に対して感受性が高まっている時期のことです。
なぜ今、保育園で大流行しているのか？
現代社会では、AIやロボットの発達により、単純な知識の詰め込みよりも「考える力」「創造する力」「協働する力」が重要視されています。文部科学省も「主体的・対話的で深い学び」を推進しており、これはまさにモンテッソーリ教育が100年前から実践してきたアプローチです。
また、共働き家庭の増加により、保育園での過ごし方の質が子どもの成長に与える影響がより重要になっています。保護者たちは、単に預かってもらうだけでなく、子どもが自立し、成長できる環境を求めています。モンテッソーリ教育は、そのような保護者のニーズに応える最適解として注目されているのです。
親としての安心感と満足感
お子さんがモンテッソーリ教育を受けることで、親としてのあなたも大きなメリットを感じるでしょう。毎日の生活の中で、子どもが自分のことを自分でできるようになり、兄弟姉妹や友達との関係も改善されます。「うちの子、こんなことまでできるようになったの？」という驚きと喜びを日々感じることができます。
また、子どもが自然に学習習慣を身につけるため、無理強いすることなく勉強に向かう姿勢が育ちます。これは、中学受験や高校受験を控えた将来への大きな投資となります。
モンテッソーリ教育の5つの分野
モンテッソーリ教育は、発達段階に合わせた敏感期に対応する5つの分野があります。
「日常生活」、「感覚」、「言語」、「算数」、「文化教育」です。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
- 日常生活
- 日常生活とは、日常生活の練習のことです。子どもは大人の真似をし、体の動かし方を学びます。特に1～2歳の子どもは運動の敏感期にあたり、手指のコントロールを身につけていきます。子どもは自分の身体を思う通りにコントロール出来るようになることで、自分のことは自分でするようになり、自信と自立心が育まれます。
- 感覚
- 感覚とは、五感や空間認識などを鍛えることです。子どもは色や形や模様などを見分けたり、重さや大きさや温度などを感じたりします。特に3～4歳の子どもは感覚の敏感期にあたり、感覚器官を使って物事を判断する能力が高まります。子どもは感覚を磨くことで、知的好奇心や発想力、判断力などを育てます。
- 言語
- 言語とは、言葉や文字を学ぶことです。子どもは音や言葉や文字に触れることで、言語能力を身につけます。特に0～6歳の子どもは言語の敏感期にあたり、言葉や文字を簡単に吸収することができます。子どもは言語を学ぶことで、コミュニケーション能力や読解力、表現力などを育てます。
- 算数
- 算数とは、数や計算を学ぶことです。子どもは数や計算に関する教具や教材を使って、算数の概念を理解します。特に4～6歳の子どもは算数の敏感期にあたり、数や計算に対する興味が高まります。子どもは算数を学ぶことで、論理的思考力や問題解決能力などを育てます。
- 文化教育
- 文化教育とは、自然や社会や芸術などを学ぶことです。子どもは自然や社会や芸術に関する教具や教材を使って、文化の概念を理解します。特に5～6歳の子どもは文化教育の敏感期にあたり、自然や社会や芸術に対する関心が高まります。子どもは文化教育を学ぶことで、自然科学的知識や社会的知識や芸術的感性などを育てます。
モンテッソーリ教育の３つのメリット
この教育法の特徴は、子どもの自発性や創造性を尊重し、自分で考えて行動する力を育むことにあります。
モンテッソーリ教育では、子どもに合わせた環境や教具を用意し、子どもが自由に選んで学べるようにします。また、年齢や能力に関係なく、子ども同士が協力しながら学ぶことを重視します。
モンテッソーリ教育のメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 子どもの自主性や自信が高まる
モンテッソーリ教育では、子どもに自分で選択する権利と責任を与えることで、自信や自立心を育てます。子どもは自分の思い通りに身体や感覚を使って学ぶことで、自分の能力を実感できます。また、日常生活の練習を通して、自分のことは自分でするようになります
- 子どもの個性や才能が伸びる
モンテッソーリ教育では、子どもたち1人1人の発達段階や性質にあった教育がおこなわれるため、個性が伸ばしやすい点が挙げられます。子どもは自分の興味や好奇心に従って学ぶことができるため、自分らしさや個性を発揮できます。
- 子どもの集中力や積極性が高まる
モンテッソーリ教育では、子どもが自ら選んだ「仕事」に集中して取り組むことを尊重します。子どもは自分の興味に応じて「仕事」を選び、繰り返し行うことで集中力や積極性が身につきます。また、縦割りのクラス編成では、年上の子どもから学んだり、年下の子どもに教えたりすることで協調性やリーダーシップも養われます。
以上が、モンテッソーリ教育のメリットについての説明です。モンテッソーリ教育は、子どもの持つ自己教育力を最大限に引き出すことで、子どもの可能性を広げる教育法です。
子どもの成長や発達段階に合わせた環境や教具を用意し、子どもの興味や好奇心を尊重して学ばせることが大切です。
今すぐ始められる！お子さんの可能性を広げる具体的ステップ
1. モンテッソーリ保育園・幼稚園の見学予約を取る
まずは実際のモンテッソーリ教育の現場を見学することから始めましょう。多くの園では見学会や説明会を定期的に開催しています。子どもたちが集中して活動に取り組む姿や、年齢の違う子どもたちが自然に協力し合う様子を直接観察することで、この教育法の魅力を実感できるでしょう。
見学の際には、以下の点に注目してください。
- 子どもたちの表情や活動への取り組み方
- 教師（ガイド）の子どもたちへの関わり方
- 教具や環境の整備状況
- 子どもたちの自立度や協調性
2. 家庭でできるモンテッソーリ的環境づくり
保育園選びと並行して、家庭でもモンテッソーリ教育の考え方を取り入れることができます。完璧を求める必要はありません。以下の簡単なことから始めてみてください。
環境の整備
- 子どもの目線の高さに物を置く
- 子ども用の小さなテーブルと椅子を用意する
- 整理整頓しやすい収納システムを作る
日常生活への参加促進
- 料理や掃除に子どもを巻き込む
- 自分のことは自分でするよう見守る
- 失敗を恐れずにチャレンジさせる
子どもの興味を尊重
- 無理に活動を中断させない
- 子どもが選んだ遊びを大切にする
- 「教える」よりも「一緒に発見する」姿勢を持つ
3. 情報収集と学習の継続
モンテッソーリ教育について更に深く知るために、以下のリソースを活用してください。
書籍
- 『モンテッソーリ教育を受けた子どもたち』
- 『お母さんの「発見」』
- 『子どもの心の扉を開く』
研修会・講演会 日本モンテッソーリ協会では定期的に保護者向けの講座を開催しています。同じ価値観を持つ保護者との交流も貴重な財産となるでしょう。
オンライン情報 YouTubeやブログなどで、モンテッソーリ教育の実践例や専門家の解説動画を視聴できます。日々の子育てのヒントが見つかるはずです。
4. 長期的な視点での教育計画
モンテッソーリ教育は一時的なブームではなく、一生涯にわたる学習の基礎を築く教育法です。小学校以降の教育選択肢についても情報収集を始めましょう。モンテッソーリ小学校や、モンテッソーリ教育の理念を取り入れた学校も増えています。
また、海外では大学レベルまでモンテッソーリ教育を継続できる環境があります。グローバル化が進む中で、国際的な教育の選択肢も視野に入れることができるでしょう。
まとめ。子供の自主性を伸ばそう！
モンテッソーリ教育は、子どもの自己教育力を引き出す教育法です。
子どもの発達段階に合わせた環境と教具と教材を用意し、子どもが自ら選び、学び、成長する過程をサポートします。モンテッソーリ教育は、子どもの自主性や自信、集中力や創造力、社会性や協調性などを高める効果があります。
モンテッソーリ教育に興味がある方は、実施園の見学や書籍の読書などで詳しく知ることができます。
また、家庭でもモンテッソーリ教育の考え方を取り入れることができます。ぜひ参考にしてください。
